合併事業承継をした場合の学生と教職員との契約関係を解説

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学校法人の許認可に関する問題

学校法人が事業承継を行う場合、学生・教職員との契約関係はどうなるのでしょうか。全て締結し直す必要があるのでしょうか。学校法人が合併や事業承継した場合を見ていきましょう!

合併による場合

ただし、学校法人の合併により契約関係が移転したとしても、学校自体が当然に設立・統合されるわけではありません。学校の統合に伴う学部の新設、廃止、寄附行為の変更とそれに関する所轄庁の認可(私学45)が必要です。

また、労働契約関係が承継されるとしても、出身法人ごとに複数の異なる労働条件が存在することは望ましくないとの事情から、合併準備の段階で、教職員側との協議によって各合併当事法人の労働条件の統一を図る場合もあります。

分離による場合

学校法人の事業承継では、在学契約や雇用契約が学生や教職員の個別の同意なしに譲受人に移転するという見解も主張されていますが、現段階でこれを明示的に認める判例は確認できません。

例えば、東京高裁平成17年7月13日判決では、

「学校教育事業の承継が営業譲渡に類似する行為であるとしても、営業譲渡契約は、債権行為であって、契約の定めるところに従い、当事者間に営業に属する各種の財産(財産価値のある事実関係を含む。)を移転すべき債権債務を生ずるにとどまるものである上、営業の譲渡人と従業員との間の雇用契約関係を譲受人が承継するかどうかは、譲渡契約当事者の合意により自由に定められるべきものであり、営業譲渡の性質として雇用契約関係が当然に譲受人に承継されることになるものと解することはできない

と判示しています。

教育内容の変更

事業承継に限定した問題ではありませんが、入学後の教育内容の変更について、生徒募集時に既に予定されていたにもかかわらず、そのことを秘して従来どおりの教育を行うと説明した場合、親の学校選択の自由を侵害し、不法行為を構成するとした判例があります(最判平21・12・10民集63・10・2463)。

事業承継および承継に伴う教育内容の変更が予定されている場合には、生徒募集の際に検討経過を明示することが望ましいでしょう。


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