学校法人における分離とは、学校法人が運営する複数の学校の一部の学校の設置者を他の運営主体に変更することによって、学校法人から当該学校を切り離すものをいいます。
例えば、A学校法人が甲大学、乙高等学校を運営していたところ、甲大学はそのまま運営しながら、 乙高等学校をB学校法人に移管させる(この点で、乙高等学校の設置者が変更されます。)ことができます。
学校法人の分離には、吸収分離と新設分離の二つの類型がありますが、これらの「分離」は、私立学校法上に制度として規定されているわけではありませんが、学校法人が、継続的・安定的な入学者数を確保し得る等のメリットを受けることが想定されます。
運営主体に移管し、移管された他の運営主体に当該学校の設置者を変更することによって、運営している学校の事業を他の運営主体に承継 させることができます。
平成30年には我が国における15歳未満人口は過去最低の12.3%となり(総務省統計局「人口推計」)、日本私立学校振興・共済事業団の調査によれば、18歳未満の人口減少を背景に平成31年度には入学定員充足率100%未満の大学が集計学校数587校のうち33%に及ぶという状況にあります(日本私立学校振興・共済事業団「平成31(2019) 年度 私立大学・短期大学等 入学志願動向」)。
学校法人が経営危機・破綻に陥れば多くの利害関係人、殊に当該学校に在籍する学生に重大な不利益を及ぼします。
この点、分離によって他の学校法人が学校を承継し、設備や学生を現状のまま引き継ぐことによって、学生に重大な不利益が生じるのを防ぐことができます。
また、経済的に厳しい状況に陥った学校法人も、運営している学校を他の学校法人に譲り渡す際に、その対価を受領す ることによって、資金調達が可能となります(もっとも、実際には無 償譲渡された例もあります。)。
さらに、学校を譲り受ける側の学校法人も、例えば大学の学部数を増やすことによりスケールメリットを活 かした総合大学としての価値を上げたりすることが考えられます。
既に述べたとおり、学校法人における学校の分離には吸収分離と新設分離の二つがあります。
吸収分離とは、1校以上の学校を設置している学校法人が、そのうちの全部または一部の学校を他の既に存在している学校法人に 移管することをいいます。いずれの学校法人においても学校の設置者変更手続きが必要になります。
なお、大学の一部の学部を他の学校法人に譲渡するためには、従前、 1学部を譲り渡す学校法人の学部「廃止」に係る寄附行為の変更の認可および2学部を譲り受ける学校法人の学部「新設」に係る寄附行為の変更の認可が必要でしたが、令和元年の私立学校法施行規則の改正 により、学部単位で設置者の変更に係る寄附行為の変更の認可申請ができるようになり(私学規4の202)、学部単位の譲渡がしやすくなりました。