学校法人における業務提携の方法を解説

> >

学校法人の許認可に関する問題

私立大学を設置する学校法人が、経営基盤の整備のため、学校法人に限ることなく他の法人との業務連携・提携を検討している場合、どのような方法があるでしょうか。また、国立大学法人・公立大学法人との合併は可能なのかを解説しています

学校法人の法人間連携

合併・分離による規模の拡大、ブランド力の承継等は経営基盤強化・合理化にとって有効ですが、設置者の変更、財産や契約関係の承継等を伴うため、理事、監事、評議員、学生、保護者等学校法人関係者のコンセンサスを得ることが難しい場合があります。

複数の学校法人が連携・提携し、共同して事業に取り組む方法であれば、比較的容易に同様の効果を得ることが期待できます。また、連携・提携の相手方は必ずしも学校法人に限られず、社会福祉法人や医療法人、NPO法人または株式会社等とすることも考えられます。

考えられる連携・提携の手段

学校法人や他の法人との連携・提携手段としては次のようなものが考えられます。この他にも、工夫次第で様々な連携が可能です。

資材の共同購入

紙、インクといった文具類や、トイレットペーパー等の日用品について、仕入規模を大きくすることで、低い単価での購入が可能になります。

学校法人間での職員教育の共同化、人材交流

教員研修を共同で行う、相互に教員を派遣し特別授業を行うことで学生が履修可能な科目の幅を増やすことが可能です。

ただし、大学設置基準12条1項において「教員は、一の大学に限り、専任教員となるものとする」との規定があり、教員が複数の大学を専任教員として兼務することは許されていません

学校・企業間での共同研究

学校や企業の垣根を超えて最先端研究に取り組む例も多数見られます。特徴的なものとして、北九州学術研究都市があり、理工系の国公私立大学(早稲田大学、北九州市立大学、九州工業大学、福岡大学)、民間研究機関、各種企業が福岡県北九州市の若松区西部に集積しています。

公益財団法人北九州産業学術推進機構がキャンパスの一体的運営を行うとともに、産学官連携コーディネーターを配置して人材育成・研究開発を支援しています。

単位の相互乗り入れ

昭和47年の大学設置基準改正により、学生が他の大学で履修した科目について修得した単位を、自身の大学における授業履修により修得したものとみなすことが可能になりました。

学部の場合には60単位まで単位互換が可能です(大学設置基準280)。各大学が専門性を活かした科目を提供することで経営合理化が図れます。

しかしながら、「学部、学科等において通常必要とされる授業科目を開設することなく、他の大学の授業科目をもって代替させるような取扱いを容認しようとするものではない」との通達(昭47・3・30文大大266)、大学設置基準19条において「必要な授業科目を自ら開設し、体系的に教育課程を編成する」ことが求められていることに留意し、卒業に必要な単位数を自開設の授業だけで取得できるよう設計する必要があります。

単位互換の実例としては、次のようなことが見られます。

  1. 小規模な大学間で、各大学の強みを生かした科目を相互提供する
  2. 特定の資格に関する科目を複数大学間で相互提供する
  3. 県内の複数大学が地域志向科目を提供し、インターンシップを強化・拡充する

施設の共同利用

スポーツ施設、研究施設等について、一つの学校で多くの施設を導入するには多額の資金と、管理コストがかかります。複数の学校で施設を共同利用することで、導入コストや管理コストを抑えることができ、学生に多様な機会を提供できるほか、最先端研究の発展にも資すると考えられます。

共同イベントの実施

スポーツイベント、各種競技大会の実施などが考えられます。

インターンシップの実施

企業との連携により、学生のインターンシップ派遣先を拡充することが考えられます。

企業からの講師派遣受入れ特に職業教育を行うに当たり、各種業界企業から講師を受け入れ、講演、授業を行います。企業にとっては広報の機会になり、学生にとっては実際に各業界で働く社会人の話を聞くことで具体的な将来像を抱くきっかけにもなります。

国公立大学との連携

学校法人と教育・研究を行うという意味で共通し、親和性が高いものとして国立大学法人、公立大学法人がありますが、国公私をまたいだ統合は法律上規定されておらず、合併・分離を行うことができません。

しかし国公私をまたいだ法人間連携・提携は現行法でも否定されていません。それぞれの財務制度の違いから課題もありますが、積極的に活用すべきです。

学校法人の連携の展望

国立大学法人は、これまで制度上1法人につき一つの学校しか経営することができませんでした。

令和元年5月、国立大学法人法の改正を含む「学校教育法等の一部を改正する法律」が成立し、国立大学法人の一法人複数大学制が導入され、令和2年4月1日の施行が予定されています。これにより国立大学法人内での役割分担が可能になるため、合併の動きが加速すると考えられます。同時に、学校法人との連携・提携についても新たな需要が生じ、増加する可能性があります。

なお、文部科学省中央教育審議会大学分科会では、地域医療連携推進法人制度を参考にした大学等連携推進法人制度(仮称)が検討されてきました。

これは学校法人、国立大学法人、公立大学法人、研究開発法人等が連携を行うために一つの一般社団法人を設置し、所轄庁が認定を行うという制度です。

社団法人の新設により、従前の法人を解散せずに連携を目指すもので、柔軟な運用が可能です。一般社団法人の設立なく行う法人間連携で足りるという見方もありますが、今後も制度実現・整備に向けた動きは継続しそうです。


問い合わせ